Books:『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子

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※関連リンクや画像は気が向いたら追加します。

ブックレビュー2019年2月:『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子

ブックレビュー2冊目は、前回とは打って変わって、にぎやかな作品をお薦めします。

主人公は噺家(落語家)で、ひょんなことから、幼馴染み、若い女性、小学生、おっさんの4人に落語を教えることになります。キャラクタはみんな個性的で、それぞれに問題を抱えているのですが、まあみんな言うことを聞いてくれません(笑)。傍から見れば、落語家である主人公が一番特殊な人種であるように思えますが、傍若無人な感じの主人公が一番まともに見えてくる不思議。

主人公は主人公で、自分の落語を見つけられずに行き詰っていて、みんなの世話を焼いている場合ではないのですが、振り回されて、暴言を吐きつつも、とことん付き合ってしまう根のいい人です。

文章の語り口が軽妙で、読んでいるだけでとにかく楽しい。楽しいのに、どこか息苦しい。それは各登場人物がそれぞれに苦しさを抱えつつも、耐え、時には戦い、時には逃げ、絶望もするから。大人たちがいまいち気弱なのに対し、真正直に全力でぶつかっていく小学生の村林君の姿に、思わずこちらもこぶしをぎゅっと握って応援したくなってしまいます。

何も変わっていないけれど、でも何かが変わった(気がする)、そんなほんのり明るい物語でした。

 

『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子に関する情報と所感

ちょっと古いのですが、1998年の作品のようです。国分太一主演で映画化されたのが2007年で、今ちょっとした落語ブームのようで、平棚の方に積まれていました。去年は漫画の『昭和元禄落語心中』がアニメ化とNHKドラマ化されて、面白かったのでその流れで今回選んでみました。アニメはアマゾンプライムで視聴できます(2019年2月時点)。

『一瞬の風になれ』では20107年屋大賞を受賞、最近だと2017年に『明るい夜に出かけて』で山本周五郎賞を受賞されています。実力派と言っていいと思います。『しゃべれども しゃべれども』はめちゃくちゃ面白かったので、他の作品も読んでみようと思います。

 

縦横無人に勝手に関連本おススメ

実のところ関連するものがあんまり思いつかなくて・・・。無理やり1冊おすすめしてみます(苦笑)。本当は漫画の『昭和元禄落語心中』をおすすめしたいのですが、漫画は未読なので・・・。

『怪談 牡丹燈籠』三遊亭円朝

岩波文庫などから出ています。稀代の落語家らしいですが、落語をよく知らない人にとっては円朝さんの名前より牡丹燈籠の方がなじみがあるかもしれませんね。千駄木の全生庵というところで毎年8月に氏の幽霊画コレクションが公開されているのですが、たまたま通りがかかったことがありました。なんというか、”本当に出る系”の絵が多かったような。

 

購入場所:八重洲ブックセンター(八重洲本店)

学生の頃は、電車の中で八重洲ブックセンターのカバーを付けたサラリーマンを見かけることがあって、心の中でかっこいいと思っていました。花柄のカバーなんですけど、一目でわかるんです。花柄カバーは今も健在で、八重洲ブックセンターはなんとなく特別感があります。

場所は東京駅八重洲口から有楽町の方に向かっていく途中にあります。ちょっと微妙な立地なので、本好きでないと、わざわざ行かないかもしれません。

カフェ併設で地下1階から地上8階まであります。エレベーターの前にはなぜか(ベンチではなく普通の)椅子がおいてあり、思わず座ってしまいます。グッズコーナーでは早川文庫グッズがマニアックで気になりました。新宿の紀伊国屋と同種の、ちょいダサな、なんとなく懐かしい感じのする書店です。

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Posted by しののめ